自分が抱えている問題に気づくために

精神疾患や心身症、自律神経系の症状など、メンタルに関連する症状治療において重要なキーワードの一つに『自己理解』があります。

『自己理解』とは、読んで字のごとく「自分はどういう人間なのか知る事」で、性格・思考・価値観など、自分を自分たらしめている要因を理解する事です。

患者さんに限らず、多くの人は「自分」という存在をあまり理解しておらず、ストレスにさらされて行動が変化している自覚を持たずにいます。

心理的な問題というのは、本人が気づいていない場合が多くあり、無意識のうちに非適応的な考えや行動に陥っている場合が多いのです。

優しくしたいのに、ついカッとなって怒ってしまう。

さほどお腹が空いていないのに、つい食べてしまう。

いけないと分かっていても弱音を吐いて、また悩んでしまう。

これらは冷静に考えれば改善から遠ざかっているにも関わらず、止められない非適応的な考えや行動です。

自己理解はそれらの考えや行動を知ることで、上手くコントロールする役割を果たしてくれます。

ただ、それを他人が諭し実践させることができれば何の苦労もないのですが、経験上そう簡単にはいきません。

いくら正論を教えられても、自分で腑に落とさなければ意味がないのです。

私が直接患者さんに「あなたのその考え方が症状を拗らせますので、それをやめて下さい。そして落ち着いて下さい」などと言っても、おそらく全くと言っていいほど響かないでしょう。

そこで重要なのが「自分が抱えている問題に、自分で気づいて、受け入れる」事です。

「問題をどのように思うのか？」

「自分はどう感じたのか？」

「何故そう考えたのか？」

といった自分に対する「気づき」を得る事で、初めて腑に落ちます。

そして、自分の心の奥にある問題にハッと気づいた時は、その問題を受け入れて対処することから逃げない事です。

非常に抽象的な言い方になってしまいましたが、もし自分がわからない時は、近しい人に『自分ってどんな人？』と聞いてみましょう。

他人から見た「アナタ」も「アナタの一面」ですので、参考に受け入れてみてください。