自律神経について

自律神経は、呼吸や心拍、血流、消化、体温調節など、生命を維持するために欠かせない働きを24時間自動で調整する神経です。
このページでは、自律神経の基本的な役割から、乱れる原因、起こりやすい症状、整えるために大切なことまで、順番に解説します。

自律神経とは

自律神経の役割

自律神経とは、意思とは関係なく、身体の状態や周囲の環境に合わせて、全身の働きを自動で調整している神経です。

呼吸・心拍・血圧・消化・体温調節・発汗など、生命を維持するために欠かせない働きを24時間休むことなくコントロールしています。

私たちが普段意識しなくても身体が正常に働いているのは、自律神経がその時々の状況に合わせて身体の働きを変化させ、安定した状態を保っているためです。

交感神経と副交感神経

木彫りのクエスチョンマーク

自律神経は、活動時の「交感神経」と、休息時の「副交感神経」の2つに分けられます。

交感神経と副交感神経は単純なオン・オフの切り替えではなく、その時の状況に合わせてバランスを取りながら働いています。

【交感神経】
活動や運動、仕事、緊張した場面などで働きやすく、身体を活動しやすい状態へと調整する神経。

【副交感神経】

休息や睡眠、食事などの時間に働きやすく、身体を休ませ、回復しやすい状態へと調整する神経。

自律神経の乱れとは

疲れた様子の女性

「自律神経の乱れ」とは、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、身体の調節機能がうまく働きにくくなっている状態を表します。

緊張した状態が続きやすくなったり、十分に休んでも回復しにくくなったりすることで、さまざまな症状につながることがあります。

自律神経失調症とは

自律神経失調症は、明確に一つの病態を指す統一的な診断名ではなく、めまい、動悸、不眠、倦怠感、胃腸の不調など、自律神経に関係するさまざまな不調に対して使われることのある名称です。

自律神経失調症には統一された診断基準がなく、医療機関では、検査をしても症状を説明できる明らかな病気が見つからない場合などに用いられることがあります。

自律神経が乱れる原因

疲れた様子の女性

自律神経が乱れる背景には、主に精神的なストレス、睡眠不足や疲労、生活リズムの乱れ、環境の変化などが挙げられます。

原因は一つとは限らず、いくつかの負担が重なることで、自律神経の調節機能がうまく働きにくくなります。

心身のストレス

仕事や学校、人間関係による精神的なストレスだけでなく、過労や病気、ケガなども身体にとって負担になります。

こうした緊張や負担が続くと、交感神経が働きやすい状態が続き、自律神経のバランスが崩れやすくなります。

生活習慣の乱れ

睡眠不足や昼夜逆転、不規則な食生活、運動不足などが続くと、身体の生活リズムが乱れます。

活動と休息の切り替えがうまくいかなくなり、自律神経の働きにも影響します。

ホルモンバランスの変化

月経前や妊娠・出産、更年期など、ホルモンバランスが大きく変化する時期は、自律神経の働きも影響を受けやすくなります。

ほてりや発汗、動悸、不眠、気分の変化など、心身にさまざまな不調が現れることがあります。

環境の変化

季節の変わり目や急な寒暖差、気圧の変化は、身体が環境に適応するための負担になります。

転職や進学、引っ越しなどの生活環境の変化も、自律神経が乱れるきっかけになります。

自律神経と心身のつながり

自律神経と心身のつながり

自律神経は、身体だけでなく、心の状態とも深く関わっています。

強いストレスや不安、緊張が続くと、脳はその状況に対応するため、心拍や呼吸、血流、筋肉の緊張、胃腸の働きなどを変化させます。

こうした状態が続くことで、動悸や息苦しさ、めまい、胃腸の不調、不眠などの症状につながります。


また、症状に対する不安や警戒心が強まることで、自律神経の働きがさらに乱れるという悪循環につながることもあります。

そのため、自律神経の不調を考えるときは、身体だけでなく、心や生活の状況も含めて考えることが大切です。

自律神経と心身の症状

原因の文字とパズル

自律神経は全身の働きを調節しているため、自律神経が乱れると、身体だけでなく心にも不調が現れます。

症状の現れ方は人によって異なり、一つだけの場合もあれば、複数の不調が重なる場合もあります。

また、子どもの場合は、朝起きられない、腹痛や頭痛を繰り返す、学校へ行きづらくなるなど、大人とは少し異なる形で現れることがあります。

身体に現れる症状

めまい、動悸、息苦しさ、頭痛、不眠、吐き気、胃腸の不調、便秘や下痢、耳鳴り、手足の冷え、倦怠感など、全身にさまざまな症状が現れます。

心に現れる症状

不安感、緊張、イライラ、気分の落ち込み、集中しにくい、やる気が出ない、些細なことが気になるなど、心の状態にも影響が現れます。

自律神経を整えるために大切なこと

食事をする夫婦

自律神経を整えるためには、生活習慣だけでなく、ストレスや不安が続いている背景にも目を向けながら、心身にかかる負担を少しずつ減らしていくことが大切です。

生活習慣を整える

睡眠、食事、運動、休息など、基本的な生活習慣を整えることは、自律神経の働きを安定させる土台になります。

すべてを一度に変えようとせず、起きる時間をそろえる、朝に光を浴びる、身体を軽く動かすなど、続けやすいことから始めることが大切です。

ストレスや不安との付き合い方

自律神経の不調には、仕事や人間関係、家庭や学校での負担、不安や緊張が続いている状況も関係します。

無理に気持ちを切り替えようとするのではなく、何が負担になっているのかを整理し、安心して過ごせる時間や環境を少しずつ増やしていくことが大切です。

まとめ

自律神経と心身のつながり

自律神経の不調は、頑張り過ぎてしまう方や、自分よりも周囲を優先してしまう方に多く見られると、私は思います。

「早く治さなければ」と焦り、頑張り続けることで、かえって心身に負担をかけてしまう方もいらっしゃるでしょう。

自律神経を整えるためには、あえて何もせず、ゆっくり休むことも選択肢の一つです。

自分の心や身体の声に耳を傾け、安心して過ごせる時間や、自分らしく生活できる時間を少しずつ増やしていくことも、心身には必要です。

焦らず、自分のペースで心と身体を整えていきましょう。

参考資料

  • 日本自律神経学会
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット
  • MSDマニュアル家庭版