自律神経が乱れるメカニズム

 

いわゆる「自律神経が乱れる」と言われている状態の、メカニズムについて説明していきます。
 



身体の仕組みと変化

自律神経が乱れるまでのメカニズム

自律神経の乱れは突然起こるものではなく、次のような段階的な変化の中で生まれます。

①ストレスや環境の変化

②体が環境に適応しようとする(アロスタシス)

③適応が続くと負担が蓄積する(アロスタティック・ロード)

④神経の働きが変化する(神経可塑性)

⑤神経が過敏になる(神経感作)

⑥自律神経の症状として現れる


神経可塑性(かそせい)

神経可塑性による変化

神経可塑性とは、脳が経験や学習、環境の変化などによって、その働き方を柔軟に変化させる性質のことです。

私たちは、この性質によって、新しいスキルを習得したり、リハビリで機能を回復させたりすることができるようになっています。

例えば、息抜きや休息の習慣を身に着けることで、次第に安心や回復など、「良い方向」へ働きを変化させるようになります。

逆に、強いストレスや緊張が長期間続いていると、次第に不安や緊張など「悪い方向」へ働きを変化させるようになります。


このように、神経可塑性には、繰り返される刺激によって良い方向にも悪い方向にも少しずつ変化していくという特徴があります。


神経感作(かんさ)

神経感作による変化

神経感作とは、神経が痛みや刺激に対して過剰に反応する状態のことです。

神経はもともと、心拍や血圧、胃腸の動きなど、体の変化にすばやく反応して身を守るための仕組みを持っています。

本来、神経は必要な刺激に必要な分だけ反応するのですが、ストレスや体の負担が長く続くと、神経の反応が徐々に敏感になっていきます。

そのため神経感作が関与すると、本来であれば問題にならないような刺激でも、神経が強く反応してしまい、身体の不調が起こりやすくなります。


ホメオスタシス(恒常性)

ホメオスタシスの働き

ホメオスタシスとは、外部・内部の環境変化に関わらず、体温や血圧などの状態をできるだけ一定に保とうとする体の仕組みのことです。

体の細胞や臓器は、ある程度安定した環境で最も正常に働くようにできています。

このような調整を常に行うのは、細胞や臓器が働きやすい環境を維持するためで、体の機能を正常に保つための防御システムとして、生命維持には欠かせません。

ストレスや不規則な生活によってホメオスタシスが崩れると、自律神経失調症や不眠、慢性疲労、さらには精神疾患(うつ病など)につながることがあります。


アロスタシス(適応恒常性)

ホメオスタシスとアロスタシスの違い

アロスタシスとは、環境の変化に合わせて体の状態を調整し、結果として安定を保とうとする仕組みのこのとです。

体にはホメオスタシスがありますが、私たちは常に同じ環境で生活しているわけではありません。

暑い日もあれば寒い日もあり、さまざまなストレスを感じたり、睡眠不足になったりすることもあります。

ストレスを感じると心拍数や血圧が上がったり、運動すると呼吸や心拍が増えたりするシステムがアロスタシスです。

これらは環境に適応するための反応で、体は「同じ状態を保つ」だけではなく、「環境や状況に合わせて状態を変える」ことでバランスを保っています。


アロスタティック・ロード(負荷)

アロスタティックロードによる負荷の蓄積

慢性的なストレスや緊張状態が繰り返されることで、身体に負荷が蓄積された状態を、アロスタティック・ロード(アロスタティック負荷)といいます。

変化に合わせて、柔軟に適応しようとするアロスタシスですが、ストレスが過度であったり長期間続いたりすると、無理な適応が続き、結果的にツケ(負荷)が溜まります。

この状態が続くと、動悸・めまい・不眠・倦怠感など、さまざまな自律神経症状が現れやすくなると考えられています。