自律神経が乱れるとは?

自律神経症状が起きるメカニズム

「自律神経が乱れる」とよく言われますが、それは多くの場合、身体がストレスや環境の変化に適応しようとした結果、神経の働き方が変化してしまっている状態をさします。

神経の反応が敏感になる・緊張状態が続きやすくなる・身体の回復が追いつかなくなる、などの状態へと働き方が変化することで、動悸・めまい・不眠・倦怠感など、さまざまな自律神経症状が現れるようになります。

このページでは、「自律神経が乱れる」と言われる状態を

  • 神経可塑性
  • 神経感作
  • ホメオスタシス
  • アロスタシス

という4つのキーワードを通して説明していきます。

少し専門的な内容も含まれますが、仕組みを知ることで、不調の見方も変わってきますので、是非ご一読ください。

しんけいかそせい

神経可塑性


神経可塑性とは

神経には、経験や環境によって働き方が変化する性質があり、この性質を「神経可塑性」といいます。

 

可塑性は、もともと物理学用語で「外から力が加わって生じた変化が、その力がなくなった後でも元の状態に戻らないこと」を指すのですが、神経については「繰り返しの刺激によって過敏になった神経機能が、刺激がなくなっても元の状態に戻らないこと」を指します。

 

つまり、神経は「繰り返された状態を覚えて、その状態を普通・通常と認識する」ということです。

 

本来この仕組みは、学習や回復などにとても重要な働きをしています。

 

  • スポーツや楽器の練習を繰り返すと上達する。
  • 麻痺した手足の運動を繰り返すことで動かせるようになる。

 

こうした変化も「神経可塑性」によるもので、私たちの脳や神経は、日々の経験や環境、繰り返される刺激によって、少しずつその働きが再構築されていきます。

 

ストレスで変化する神経の働き

神経可塑性による変化

神経可塑性の特徴は、繰り返される刺激によって良い方向にも悪い方向にも少しずつ変化していくという点です。

 

例えば、ストレスや緊張が長期間続いていると、身体はその状態に慣れていき、次第に脳は「緊張している状態が普通」と認識するようになります。

 

  • 身体が力みやすくなる
  • リラックスがうまくできない
  • 回復モードに切り替わりにくい

 

これは、自律神経の不調が長引いてしまう理由の一つです。

 

逆に、リラックスやしっかりと休む習慣を身に着けることで、次第に脳は「安心している状態が普通」と認識するようになります。

 

  • 安心できる時間が増える
  • 身体がリラックスする時間が増える
  • 休息や回復の時間が確保される

 

こうした状態が続くことで、神経の働きは少しずつ良い方向へと変化していきます。

 

本来であれば、安心できる環境やリラックスできる機会が増えることで、神経は少しずつ落ち着いてくるのですが、実際にはそう上手く行きません。

 

緊張状態が長く続いた神経は、「ちょっとしたストレスで症状が出る」など、わずかな刺激にも強く反応することがあるからです。

 

これを 「神経感作」といいます。

しんけいかんさ

神経感作


神経感作とは

神経感作とは、神経が刺激に対して過剰に反応する状態のことです。

 

本来、神経は必要な刺激に必要な分だけ反応するのですが、ストレスや体の負担が長く続くと、神経の反応が徐々に敏感になっていきます。

 

そのため神経感作が関与すると、本来であれば問題にならないような刺激でも、神経が強く反応してしまい、身体の不調が起こりやすくなるのです。

 

  • 少しのストレスで動悸が出る
  • わずかな疲労で強い倦怠感が出る
  • 些細なきっかけで体調が崩れる

 

こうした神経の過敏な状態は、過敏性腸症候群や自律神経失調症などにも関係していると考えられています。

 

神経感作は、大きく分けると「末梢感作」と「中枢感作」があり、それぞれ神経が過敏になる場所や仕組みが異なります。

末梢感作

末梢感作とは、皮膚・筋肉・関節などの末梢組織が、通常では感じにくい刺激でも、過敏に感じてしまう状態です。

中枢感作

中枢感作とは、脳や脊髄などの中枢神経が、通常では感じにくい刺激でも、過敏に感じてしまう状態です。

なぜ身体の反応が強くなるのか?

神経感作による変化

神経はもともと、体の変化にすばやく反応して身を守るための仕組みを持っています。

 

  • 心拍が上がる
  • 血圧が変わる
  • 胃腸が動く
  • 体が緊張する

 

といった体の変化を神経が感じ取り、脳に情報を伝えることで体の状態を調整していくためです。

 

本来であれば、こうした反応は体を守るための正常な働きなのですが、強いストレスや緊張状態が長く続くと、神経はその状態に適応しようとして、次第に刺激に対して敏感に反応するようになることがあります。

 

その結果、少しの体調の変化や、わずかな身体の違和感など、普段なら気にならない刺激に対しても、

神経が強く反応するようになっていくというわけです。

 

つまり神経は、繰り返された状態に合わせて変化していく神経可塑性と、刺激に対して敏感に反応する神経感作が起こることで、身体の不調が起こりやすい状態になっていくのです。

恒常性

ホメオスタシス


ホメオスタシスとは

私たちの体には、外部・内部の環境変化に関わらず、体の状態をできるだけ一定に保とうとする仕組みがあり、これを「ホメオスタシス(恒常性)」 といいます。

 

例えば、暑いと汗をかき、寒いと体が震えるのも、体温を一定に保とうとするホメオスタシスの働きで、体温・血圧・心拍・血糖・自律神経のバランスなどの働きが連携し、体の状態を常に一定に保てるよう調整されています。

 

ホメオスタシスは、主に自律神経系・内分泌系(ホルモン)・免疫系の3つが連携して、生命維持のために内部環境を一定の安定した状態に保とうとします。

自律神経系

交感神経と副交感神経が、体温・呼吸・心拍・血管の収縮などの無意識の機能を調整。

内分泌系

ホルモン(インスリンやアドレナリンなど)が血液中へ放出され、血糖値や代謝の制御。

免疫系

外部から侵入したウイルスや細菌を排除し、体内環境を正常に保つ働き。

なぜ状態を保とうとするのか?

ホメオスタシスの画像

 体の細胞や臓器は、ある程度安定した環境で最も正常に働くようにできています。

 

・体温が上がりすぎないようにする

・血圧が下がりすぎないようにする

・神経の働きが乱れすぎないようにする

 

このような調整を常に行うのは、細胞や臓器が働きやすい環境を維持するためです。

 

これは、体の機能を正常に保つためのとても大切な防御システムで、生命維持には欠かせません。

 

ストレスや不規則な生活によってこのシステムが崩れると、自律神経失調症や不眠、慢性疲労、さらには精神疾患(うつ病など)につながることがあるからです。

 

一方で、強いストレスや緊張状態が長く続くと、体はその状態にも適応しようとするようになります。

 

ホメオスタシス(保とうとする仕組み)に対して、環境に適応しようとする仕組みを、「アロスタシス」といいます。 

動的適応能

アロスタシス


アロスタシスとは

環境の変化に合わせて体の状態を調整し、結果として安定を保とうとする仕組みを、「アロスタシス(動的適応能)」といいます。

 

前の章で説明したように、体にはホメオスタシスがありますが、私たちは常に同じ環境で生活しているわけではありません。

 

暑い日もあれば寒い日もあり、仕事や人間関係で強いストレスを感じたり、運動をしたり、睡眠不足になったりすることもあります。

 

このように、体の外の環境は常に変化しており、もし体が「常に同じ状態を保つこと」しかできなければ、こうした変化にうまく対応することはできません。

 

そこで働くのが、アロスタシスです。

 

  • ストレスを感じると心拍数や血圧が上がる
  • 危険を感じると交感神経が働き、体が緊張する
  • 運動すると呼吸や心拍が増える

 

これらはすべて、体が環境に適応するための反応です。

 

つまり体は「同じ状態を保つ」だけではなく、「環境や状況に合わせて状態を変える」ことでバランスを保っているのです。

 

アロスタシスは、単なる事後反応ではありません。

予測や経験に基づき、状況に合わせて設定値そのものを柔軟に変化させ、「先読みして備える」といった、予測的適応が大きな特徴といえます。

ホメオスタシスとアロスタシスの違い

観点 ホメオスタシス アロスタシス
基本

状態を一定に保つ

状況に合わせて変化

目的 体内の安定 状況への適応
反応 事後に元に戻す 先読みして備える
状態 基準値を維持 基準値の変化

《具体的な例》

ホメオスタシス:暑い時に汗をかいて、体温を36度前後に戻そうとする反応。

→生命活動(代謝・消化・エネルギー生成など)を、効率的におこない、かつ安定を維持するため。

 

アロスタシス:運動前に緊張して、血圧や心拍数を上げる反応。

→運動時に脳へ酸素や糖を急速に送り込むことを予測して、基準値を一時的に引き上げている状態。

アロスタティック・ロード

ホメオスタシスの画像

慢性的なストレスや緊張状態が繰り返されることで、身体に負荷が蓄積された状態を、アロスタティック・ロード(アロスタティック負荷)といいます。

 

変化に合わせて、柔軟に適応しようとするアロスタシスですが、ストレスが過度であったり長期間続いたりすると、無理な適応が続き、結果的にツケ(負荷)が溜まります。

 

例えば、仕事のストレス・睡眠不足・将来への不安などが続く状態で、体がそれに適応し続けようとした結果、以下のような変化が起こることがあります。

 

  • 自律神経が常に緊張しやすくなる
  • 回復が追いつかなくなる
  • 体のバランスが崩れやすくなる

 

このように、環境に適応する仕組み(アロスタシス)が長く働き続けることで、体の負担が少しずつ積み重なっていく状態がアロスタティック・ロードです。

 

この状態が続くと、動悸・めまい・不眠・倦怠感など、さまざまな自律神経症状が現れやすくなると考えられています。

自律神経症状が起きるまでの流れ


身体の変化とその仕組み

私たちの体には、本来ホメオスタシスがあります。

しかし、ストレスや環境の変化が続くと、体はそれに対応しようとして働き方を変えます。

これまでのキーワードを整理すると、次のような流れになります。

① ストレスや環境の変化

仕事・人間関係・睡眠不足など、さまざまな負担が体にかかります。

 

② 体が環境に適応しようとする(アロスタシス)

体は環境に合わせて、心拍・血圧・ホルモン・自律神経の働きを調整します。

 

③ 適応が続くと負担が蓄積する(アロスタティックロード)

適応が長く続くと、体には少しずつ負担がたまっていきます。

 

④ 神経の働きが変化する(神経可塑性)

体は環境に合わせて、神経の働き方そのものを変えていきます。

 

⑤ 神経が過敏になる(神経感作)

神経の変化が続くと、体は刺激に対して敏感になり、わずかな負担でも強く反応するようになります。

 

⑥ 自律神経の症状として現れる

この状態になると、動悸・めまい・不眠・倦怠感など、さまざまな自律神経症状が現れることがあります。

まとめ

自律神経の症状は、突然起こるものではありません。

 

ストレスや環境の変化に対して体が適応し続けることで、体の負担(アロスタティックロード)が蓄積し、神経の働きにも変化(神経可塑性・神経感作)が起こるといった流れです。

 

その結果、動悸やめまい、不眠、倦怠感などの自律神経症状として現れるわけです。

 

また、神経の働きが変化している状態では、

 

  • 検査では異常が見つからない
  • 休んでもすぐに回復しない
  • 症状が繰り返される

 

といった状態が続くこともあります。

 

しかし、これは体が壊れているわけではありません。

環境や状態を整えていくことで、神経の働きも少しずつ良い方向へ変わっていくことが期待できますので、諦めずに頑張っていきましょう。

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