好転反応の本当と嘘

他の施術者が言っている「好転反応」と私の「好転反応」の解釈は少し違うかもしれませんが、正直、私はこの言葉が嫌いです。

「好転反応」とは、治療の過程において改善に向かう中で起こる、一時的に悪化した身体反応のことを指す言葉です。

なんだか良くなる（好転する）ために避けては通れない、一時的に悪くなる反応と思うかもしれませんが、時として、施術者の都合の良い言い訳にもなります。

厚生労働省によれば、悪質な健康食品や美容サービス等で健康被害が出ている状況において利用されている言葉として、注意喚起を行っている始末です。

漢方医学の世界ではこれに似た言葉で「瞑眩（めいげん）」というモノがありますが、瞑眩と好転反応は、全くの別物だと個人的には思っています。

薬には当然、作用と副作用があるわけですが、「瞑眩」と副作用は違います。

例えば、漢方薬を使って老廃物が体外に排出される際に、尿の色が濃くなることがあります。

コレは「瞑眩」です。

瞑眩のでない漢方薬は治らない。という漢方医の先生もいらっしゃるくらい、頻繁におこる事象です。

しかし、仮に薬を飲み始めてから下痢の症状が続くとします。

コレは「副反応（有害事象）」です。

一過性（その時だけ・短期間）ならあり得る事ですが、継続して続くとなれば、それは患者の証（体質）に合わないので、他の調剤を考えるべきだと思います。

もちろん、作用と副作用はどちらもあって然るべきで、その度合いによって判断をするから、知識が要るわけです。

ところが、整体業界においては「副反応」にも関わらず「好転反応」だと言い張る節があります。

よくある「揉み返し」です。

あんなのは「好転」でもなんでもなく、ただの打撲で、もっと言えば怪我です。

それを、さも治る前の反応の様に言い張るのは、個人的には「嫌い」です。

もちろん、本当にそのような反応が無いわけではありません。

実際に、頭に手を軽く触れるだけで腰痛が軽減する施術を受けたことがあります。

その時に「施術後よく頭痛がする患者さんがいます」と言われましたが、私も滅多に出ない頭痛が発症しました。

1日も経たずに頭痛はなくなりましたが、同時に腰痛も軽くなったので、私としては、あれは「好転反応」で済ませることができたのです。

もちろん、医学的・科学的な根拠は出てこないでしょう。

それほど人体の解明されていない部分は深いのです。

思い込み含め、身体の反応は千差万別です。

「好転反応」という言葉には、本当と嘘が入り乱れています。

判断は難しいですが「自分に合わない」と思ったなら、それは良い反応を産みにくいので、中止しても良いと思います。