痛みがでたら最初に『急性・慢性』を整理しましょう～慢性疼痛～その②

慢性疼痛は、急性と違い原因がハッキリとしていません。

そのため、原因を改善するための治療法もハッキリとしておらず「手術や薬で治す」という急性での常識は通用しなくなります。

実際、死別や離婚や失恋が原因で痛みや精神疾患が発症する患者さんは、かなりいらっしゃいます。

そんな寂しさや辛さの治療法が、手術や薬だと思いますか？って話ですね。

『病ではなく、人を診る』それが、慢性疼痛の治療キーワードになります。

慢性疼痛（種類・目的・治療）

慢性疼痛は、中枢神経系である脳の痛みを感じる機能そのものが、神経可塑性によって変化し、痛みを引き起こしています。

痛みの種類としては、急性の様な組織損傷による炎症ではなく、過敏な緊張による組織のこわばり『筋・筋膜性疼痛』です。

砕いた言い方をすると、知らずに力んで生じている筋肉痛です。

たかが筋肉痛？いいえ、そんなに甘いものではありません。

男性は気絶するとさえいわれる陣痛も、子宮の筋収縮による筋・筋膜性疼痛（筋肉痛）です。

慢性化した筋肉の痛みは、不眠症や食欲不振、時には生活を困難にさせるほどの痛みにまでなります。

しかも過度な緊張は心理社会的要因によって修飾されているので、何年も続くわけで、「痛み」なのに抗不安薬や精神薬系を出されている理由は、心理社会的要因が含まれるからです。

それは、あくまで補助として使用することが重要です。

そして急性と最も違う点は、治療の目的が、痛みを治すことではない点です。

精神面・脳・神経系の緊張を如何にして解くか？それをしなければ、痛みが治まることはありませんし、別の痛みや精神症状が次から次に発生してしまいます。

慢性疼痛の目的は「痛みを治す」ではなく「QOL・ADLの向上」です。

痛みがある状態でもできることを積極的に取り入れ、痛みへの意識を逸らすことで、副次的に痛みが取り除かれます。

そのための治療法は『運動療法・心理療法・生活習慣の改善』の3本柱。

患者さんが、痛むからと敬遠している運動や日常的な活発な行動は、むしろ積極的に行う治療です。

心理療法と組み合わせることで、より効果が望めます。

趣味でも、遊びでも、リラクゼーションでも、エクササイズでも、取り組むことで初めて心境の変化に気が付けるでしょう。

こう書いたからといって、患者さんが「あーそうか！目標はQOLの向上か！」とならないのは当たり前ですが、やっていくうちにコツがつかめます。

そのための施術が当院の真骨頂と言えるでしょう。

慢性疼痛（種類・目的・治療）まとめ

・ 痛みの種類　→　緊張・興奮・過敏な状態になっておこる筋・筋膜性疼痛による痛み。

・ 治療の目的　→　QOL/ADLの向上が目的で、痛みの軽減は副次的。

・ 治療の方法　→　運動療法・心理療法・生活習慣の改善。薬は補助的。