『メンタル』と『フィジカル』

以前、知り合いの先生方と罵りあった話を書きましたが、その議題の一つに

「メンタルとフィジカルどちらが大事か？」

という内容がありました。

もちろん「何方も重要」で満場一致なのですが、鶏卵前後論争にも決着をつけたいような連中の集まりです。好き好んでやっています。

当然ながら、ケースバイケースになるのですが、答えの無い議論は、患者さんと会話する時に、定型文ではない説明の仕方の練習にもなります。

例えば、患者さんが改善のための行動ができない時に「気持ち」が先なのか「身体」が先なのかは、けっこう悩む問題です。

「全人的に診る」という理想が有るとはいえ、同時進行が苦手な人もいるので、順番の前後くらいはありますから、意外と重要な問題なのです。

慢性疼痛において、心理療法と運動療法は治療の中核を成します。

ポルトガルのリスボン大学の研究者によると、筋力は「身体活動の量」とは関係なく、単独で抑うつ状態のリスクを低下させ、有意に抑うつ症状を軽減させることがわかっています。

つまり、健康な人は筋トレに励み筋力アップを図ることで、精神的な落ち込みを防ぐ働きがある。

そして、既に抑うつ症状に悩まされている人も、筋トレで気持ちが上向きになる。というわけです。

前者の様に、精神的に健康な人に筋トレは容易かもしれませんが、後者の場合ではそうはいきません。

この様な状況において動くためには、精神的な活力が必要ですから、心理療法は、筋トレよりも優先させたいですよね。

でも、研究結果のように筋トレなどの運動療法が精神向上には大事なのです。

鶏が先か・・・卵が先か・・・

まぁ、いずれにしても考えるよりも行動が大切だよね。

という結論に今回も至るのでした。