患者さん家族の対応

うつ病や双極性障害・統合失調症などの精神疾患を、自分ではなく家族の誰かが患ってしまった場合、どうやって接することが正解なのか？

家族故に心配はとても大きく、正解が分からずに悩まれる方は非常に多いです。

今回は、患者さん本人ではなく、患者さんの「家族」について少しお話しようと思います。

もちろん各家庭で様々なケースがありますので参考までに。

家族は味方

うつ病や双極性障害・統合失調症など、いわゆる精神疾患を発症している患者さんの多くは、今までに経験したことのない状態に、自分が分からなくなり、非常に不安な気持ちでいっぱいです。

残念ながらこの心境は、どんなに知識があろうと、患者本人を理解していようと、経験しなければわかりません。

そんな不安な気持ちは、普段の何気ない生活すら困難にさせ、他人への不信感へと繋がり、『誰も理解してくれない』という孤独感を感じさせます。

なので、一番近くにいる家族が「あなたの味方」というメッセージを送ってあげることが非常に大切です。

そのためには、まずご家族が病気に関する正しい知識を持ち、病気に対する偏見やスティグマを持たない事。

それが身近な人たちに求められる最初の課題です。

感情表出

うつ病や双極性障害・統合失調症などを発症している患者さんは、周囲の人たちにとても敏感です。

接する人の感情の表し方（表情、口調、態度など）のことを「感情表出」といって、英語のExpressed Emotionの頭文字をとってEEとも呼ばれます。

特にご家族をはじめとする身近な人たちの感情表出（EE）は、症状の改善や再発に大きな影響を与えるといわれています。

患者さんに対して強い感情表出が向けられることを「高EE」と呼び、改善に悪影響を及ぼしたり、再発の危険性が高かったりすることが分かっています。

３つの『高EE』

①批判的な感情表出

「何もしないでごろごろしている」「いい年をして仕事もしない」などとの不満や文句をいうこと。

②敵対的な感情表出

「いっそ、お前なんかいなければいい」「お前のせいで人生台無しだ」など、敵対的な感情をぶつけること。

③情緒的な感情表出

「この子は病人だから私がいてあげないといけない」「この人の気持ちは私にしかわからない」など、ちょっとした事で泣き崩れたり、冷静さを失ったりすること。過干渉や過保護。

ただ、誤解してはいけないことは、家族が高EEだからといって、発症したわけではないということです。

患者さんが発病したからこそ、ご家族が高EEにならざるをえなかったとも考えられます。

感情表出（EE）は、あくまで身近な人たちが自分たちの接し方にリスクがないかをよく考えて、そうであれば修正する工夫が必要だということです。

１番身近な存在であるが故に、高EEになりやすいのが家族です。

逆に、患者さんの気持ちを安定させ、良い影響を与えるのも家族です。

まずは、こういった問題があることから知ってください。