自律神経を整える休養の取り方【積極的休養＆消極的休養】

遠心性の自律神経には、身体を活動状態にする「交感神経」と、休息状態にする「副交感神経」の2種類があります。

（遠心性とは脳から末梢神経へ信号が行くこと。 遠心性の逆は求心性で、末梢神経から脳へ信号が行 くこと。例えば、物に触れたり味わったりする感覚は求心性。）

ここでは触れませんが、内臓の状態を無意識に把握するための求心性の神経として「内臓求心性神経」という自律神経もあります。

2つの自律神経は互いに押し合う様にパワーバランスをとっていて、このバランスこそが、心身の安定やパフォーマンス向上の役割を担っています。

現代社会の多くは、活動状態に対して休息状態の時間が追いついていない状況が生じていて、交感神経優位をリセットするだけの副交感神経優位の時間帯が削られており、結果的に心身の不調和に苦しむ人が増えていると言えるでしょう。

そんな状態を改善するには「休養」を如何にして取り入れるのか？が鍵となります。

「休養」には２つの意味があり、１つは活動によって生じた心身の疲労を回復し、元の活力ある状態に戻すために「休む」ということ。

もう1つは明日に向かっての鋭気を養い、身体的、精神的、社会的な健康能力を高める力を「養う」ということです。

積極的休養と消極的休養

【積極的休養（アクティブ・レスト）】

最近では、適度に体を動かすことにより疲労回復を早める「積極的休養（アクティブ・レスト）」を、厚生労働省が推進しています。

平日に疲れが溜まったからと言って、ダラダラと休日をして過ごしていると、なお更疲れが増した。なんて経験はあるのではないでしょうか？

人は動くことで体を調整させる機能を備えています。

適度な運動は全身の血流を促進させ、筋肉が血液を心臓に戻すことによって、心臓のポンプ機能を助けるため、横になっているときよりも疲労回復への効果が高かくなるのです。

積極的休養は、もともとアスリートの素早い疲労回復を目的として考案されたものですが、普通の日常生活を送る上でも十分に効果が高いと言えます。

【消極的休養（パッシブ・レスト）】

積極的休養は活動性を一定程度維持しながら休養をとる概念ですが、高度の疲労を自覚したときにはしっかり休んで体力を回復させなければなりません。

家でごろごろしたり、テレビなどを見たりして極力動かずにゆっくり休むことを、「消極的休養（パッシブ・レスト）」と言います。

体調が悪くなると「何が足りていないのか？」と積極的に治療を行おうとする患者さんが一定数いらっしゃいますが、そもそも活動量が多すぎる場合がままあるのです。

とは言え、消極的休養ばかりを長く続けると、副交感神経優位の時間が長く続くことで心拍・血圧が低下し、疲労物質が体内に残りやすくなり、かえって疲労感が蓄積され、疲れやだるさ、頭痛などが生じることもあります。

少し回復した時点で、積極的休養に切り替えることも大切です。

「積極的休養」と「消極的休養」は、どちらも自律神経のバランスを維持するために必要な休養です。

活動と休息の自律神経を上手に使い分けて、日々の生活にメリハリをつけ、健康を保っていけるようにしましょう。