痛み止めは万能ではありません

『○○病には、○○薬を飲みましょう』

『××病には、××薬が最適です』

急性症状の場合、原因とそれに合った薬を選択するための診断がとても重要です。

あり得ない話ですが『食べすぎで胃が苦しい』だけなのに『胃がんです！抗がん剤を出しましょう！』とか言われてしまったら、本当に困りますからね。

そんな事にならない様に、お医者さんは沢山の勉強をされていますし、原因を見つけるための検査が非常に多いのは、誤診のリスクを減らすためでもあります。

ところが、慢性症状の場合、原因はよくわかりません。

よくわからないので、薬の選択が難しいのですが、たまに市販薬を自己判断で飲む患者さんが居ます。

よくあるのが『痛み止め』です。

『腰痛ですが検査に異常はなかったので、とりあえずロキソニンと湿布を出しますので、しばらく様子を見てください。』

病院でこのように言われました。でも痛みは止まりません。という理由でウチに来院される患者さんは意外と多くいらっしゃいます。しかも、何度受診してもそれしか言われないケースが本当にあるみたいで、非常に残念です。

それは、「腰痛＝痛み＝痛み止め」という単純発想です。

泣いている女性がいたとして『女性の涙＝失恋＝ハンカチ』と決めつけているのと似ています。

じっくり話を聞かないと、なぜ泣いているのか分からないでしょう。

腰痛の原因も炎症や熱だけではありません。

患者さんにとって、痛みは痛みでしかないかもしれませんが、実は痛みにも色々あります。

緊張でお腹が痛くなった話はよく聞くのではないでしょうか。それこそ失恋で腰痛が起こる場合もあります。

同じ痛みでも、痛み止めが効かない痛みがある事を知りましょう。

痛み止めは、万能薬ではありません。