治すのが無理なら、いったん諦めましょう

そもそも論になりますが、慢性的な症状は完全に治すことが難しいとされています。

なので、完治ではなく『寛解（かんかい）』という言葉が使われます。

寛解とは『症状を抑えることができている状態』のことです。

例えば、慢性的にあった頭痛が改善したとして、「今後一生、再発しない！」とは言えないからです。

長年の腰痛や頭痛などの慢性疼痛を抱えている患者さんは、痛みを0にしたい（完治させたい）と思いがちです。

実は、その考え方は非常に危険です。

一旦収まった症状が、軽度であれ再発する可能性はかなり高いです。

そんな時に「まただ。治っていない」と思ってしまうと、かえって症状に固執してしまい、行動に制限がかかってしてしまうケースがよくあります。

ちょっとの症状でも、再発に怯えてしまって過剰に反応してしまうのです。

興味深い事に、人間は思い込みで痛みが強くなったり弱くなったりします。

プラセボ効果やノセボ効果は、病は気からと言われる実際に起こる変化です。

プラスに働く状態であればよいのですが、不調が続くとどうしてもマイナス思考に陥りやすく、ノセボ効果の方が強く表れてしまう場合が多いです。

そんな時は、症状を「しょうがないもの」と受け入れて、症状在り気の生活を送って、その他の事に目を向ける方法があります。

意外な事に、症状が0で無いにも関わらず、気にならなくなったりします。

「完治」を諦める事によって、「思考の入れ込み」の様なモノが無くなって「寛解」する事もあるのです。

不安とは、それが訪れた時にやってくる感情ではなく、それが訪れるまでに生じる感情です。

その不安が、痛みを産んでいるから慢性疼痛は厄介なんですね。

いったん諦めるのも一つの手段です。