心が関連する体の病気『心身症』

皆さんは『心身症（しんしんしょう）』という言葉をご存じでしょうか？

心と体の両方が関わっている事は何となく知っているかもしれませんが、どちらかと言うと「心の病」と思われており、あまり正しく理解されていません。

「心の病」という捉え方全てが誤っているわけではありませんが、『精神疾患』と混同されているケースも見受けられます。

心身症を理解する上で最も重要なことは、その発症や経過に『心理・社会的因子』が大きく影響しているものの基本的に「体の病気」ということです。

そして『心身症』とは「心が大きく関与する病態」に付けられた名称で、特定の病気を指すわけではありません。

過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアなどが有名所ですが、アトピーや蕁麻疹、慢性鼻炎や喘息、高血圧でさえも心理社会的要因が大きく関わる心身症なのです。

心理社会的要因が関連することから、当然ながら心理療法は重要ですが、体の治療も必要なのはいうまでもありません。

「精神科」と混同されがちですが「心療内科」という科は、この心身症を専門的に診る医療機関で、内科の一種です。

身体の症状を訴えられてきた患者さんが、レントゲンやCT、MRI、内視鏡検査等を用いても「問題はありません」と言われるケースは珍しくありません。

だからと言って患者さんが嘘を言っているわけでもないので「これは心の問題がメインになっているかもね」という風になるわけです。

病院で「ストレスです」と言われた場合、それは身体の症状の発症や経過にストレスが大きく関わっているので心身症ですよ。と言われているのです。

患者さんからすると不思議に思われるかもしれませんが、頭痛、腰痛はもちろん顎関節症や生理痛などの症状でさえも、心身症といえます。

何度も言いますが、心身症は身体の病気ですが、『その発症や経過に「心理・社会的因子」が大きく影響している』ということを忘れてはいけません。

体だけを考えてもダメです。

心身症の「心身」は心が関連する体です。