忘れてはいけない「情けは人の為ならず」の精神

誰しも一度は聞いたことがある教訓や心得「情けは人の為ならず」

私の座右の銘の一つですが、本当に意味を理解したのはここ数年です。

ほとんどの方は「人に情けを掛けていると、巡り巡って自分に良い報いが返ってくるよ」もしくは「情けを掛けると、その人の成長の妨げになるからダメだよ」という意味で覚えているかと思います。

どちらの意味も納得できる部分があり、後者もあながち間違えではないと思うのですが、肝心な教訓が一つ抜けています。

元ネタとなった新渡戸稲造の著書「一日一言」にはこう書かれています。

施せし情は人の為ならず　おのがこゝろの慰めと知れ

我れ人にかけし恵は忘れても　ひとの恩をば長く忘るな

《意味》

思いやりというのは相手の為ではなく、自分の心を慰めるものですよ。

相手への善行は忘れても、他人から受けた恩を事は忘れてはダメだよ。

新渡戸さんが伝えたかった「情」とは「見返りを求めない無償の奉仕」というのが肝心な教訓です。

以前私は「情けは～」を親に言われて「相手は何もしてくれないのに、こっちだけするのは損な気がする」本心ではそう思っていました。

問題が起きたり、気に食わなかったりすると、自分が悪いとは思わず、相手が悪いと思う。挙句の果てに上げ足を取って責める。そのくせ、そもそも自分は相手にたいして施していない。

人にかけた恵をいつまでも恩に着せるくせに、人からかけてもらった恩はすぐに忘れる（そもそも当たり前だと思っている）

あろうことか「自分はわがままだからしょうがない」と開き直る事もしばしば。

非常に情けない話ですが、タチが悪いわがままな性格です。

その性格を直そうとせず離婚に至ったわけですから、自業自得です。

それでも私を見捨てなかった親には本当に感謝しています。

おかげで本当の孤立を避ける事が出来たのですから。

わがままな性格は、人には何も与えずに自分だけが欲しがります。

そして、そういった自覚がないゆえに「我が儘」なのです。

中には以前の私の様に「こういう性格だから」と言う「開き直りわがまま」や、うわべでは反省していても本心では重要だと思っていない「軽視わがまま」もいます。

わがままな性格は、何か問題があると自分に非はなく他人に非があると考え、平気で人を振り回し、結果的に相手が傷ついていようと、自信の行いを振り返ろうともしないのです。

自分で書いておきながら、客観的に見ていて本当に情けなくなります。

今まで嫌な思いをさせてきた人、本当にごめんなさい。

「少しは自分もわがままだ」と思う人は軽く考えないようにしましょう。

そして「自分は全然わがままじゃないから関係ない」と思う人は、この際ハッキリ言いますが、一番厄介なわがままです。

《わがままな人へ》

人間誰しも誰かの助けで生きています。

助け合いが一方的で成り立っているのは、相手が無償の情けを掛けてくれているからです。

いつまでも与えられてばかりでは、その優しい人はいつか去って行くでしょう。

やって当たり前と思うのは相手であって、やってもらって当たり前と思うのは筋違いです。

《優しい人へ》

もし、相手がわがままだとしても本当の情けとは、見返りなんてのはどうでもいいのです。

情けは自分の心を綺麗に磨いてくれます。

わがままは相手が自覚する以外に直ることはありません。自分の心を綺麗にする為に情けを掛けてあげましょう。

それでも、人の心は鉄でできているわけではありませんから、心底疲れる前に離れた方が良いでしょう。

《最後に》

情けを掛けさせてくれる人が居る。それがどれだけありがたい事か。

私の様に周りに恵まれていれば、孤立してからでも気が付くでしょうが、優しい人としてはその前に気が付いてほしいでしょうね。