胃腸障害でお悩みの方へ

ここでいう『胃腸障害』は『過敏性腸症候群』や『機能性ディスペプシア』とは別の症状と思ってください。他の胃腸症状の原因となるもの、また症状そのものをまとめて『胃腸障害』としています。様々な胃腸障害が複雑に絡んで『過敏性腸症候群』や『機能性ディスペプシア』に繋がっているとされています。

胃腸の働きは『自律神経』と密に関わっています。『緊張でお腹が痛い』や『安心したらお腹が空く』は自律神経（交感神経と副交感神経）の働きによるものです。自律神経は身体の機能をうまく調整する働きがあり、本来であれば緊張状態とリラックス状態を、時と場合によって生み出します。

しかしながら、ストレス社会とよばれる昨今では、過緊張や無気力など、過度に自律神経が働いてしまい胃腸障害に限らずその他不調の原因となっています。

腸内細菌の多くは大腸に住み着いていますが、小腸にもごくわずかに存在しています。数にすると大腸100兆個に対して小腸は1万個ほどしか存在しません。『SIBO』は通常なら大腸や口腔内にとどまっている細菌が小腸に流れ込むことによって増殖する症状です。本来小腸内で吸収しきれない糖などを餌に、約10倍にまで腸内細菌が増殖してしまいます。腸内細菌が餌を分解する過程で発生させたガスは、小腸内に痛みや張り、さらには小腸の機能そのものを悪化させるといわれています。

小腸内に細菌が増えたり、肝臓の機能が低下すると、消化液である胆汁の分泌や働きが阻害されてしまいます。胆汁は脂肪を溶かす役割があり、脂溶性（脂に溶ける性質）ビタミンであるビタミンA・D・E・Kが分解されず、吸収しにくい状態になってしまいます。この状態が続くと免疫力の低下や疲労感など、全体的な不調がおこるといわれています。

ストレスを感じると脳が反応し、腸では『ヒスタミン』という物質が放出されます。ヒスタミンは炎症を起こす化学物質でもあり、腸粘膜（腸のバリア）を破壊してしまい、腸の細胞同士の間に隙間を生じさせます。この状態を『リーキーガット（漏れやすい腸）』と言います。

リーキーガットは普段ならば通らない有害物質を腸管内に通してしまい、腹痛や感染症さえ引き起こすと言われています。